10.2010
一周忌
Posted by あざの耕平
カ 「……日付も変わったか。よろしい。ではこれより、『反省会』を開始する。全員、集合っ。しゅーごー」
ザ 「はいは~い」
ダ 「……そうか。作中では、ちょうどあの戦いから一年か……」
ナ 「…………」
ハ 「参上致しました」
マ 「へーい――ってなんか機嫌悪そうだね、お姉ちゃん」
ヤ 「投げやりな口調のワリに、目がぎらついてるぜ……」
ラ 「やれやれ。また、面倒なことを」
カ 「ええい、何をごちゃごちゃ言っている! いいか。まずは点呼を取る。番号――1!」
ザ 「2!」
ダ 「3だ」
ナ 「4」
ハ 「5です」
マ 「ろっく~」
ヤ 「な、7だぜ!」
ラ 「8」
カ 「…………」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『…………』
カ 「……一人足りんな」
ザ 「ちょっ!? お、お姉ちゃん! 何言ってんの!?」
ヤ 「そうだよ、そりゃないぜ、姉貴!? なんのために俺たち、必死になって……!」
(ガッ)(ゴッ)
ザ・ヤ 『……っツう~……』
カ 「阿呆。足りんのは、9じゃない。当たり前だろ。あいつが、いまここに居てたまるか」
ザ 「で、ですよね?」
マ 「ちなみに、我らが希望の星ナンバー9は、現在無事地下に潜伏してるみたいだよ」
ダ 「うむ。厳しい道のりだとは思うが……彼女の上に、希望の光があらんことを」
ナ 「9なら大丈夫だ」
ハ 「はい。私もそう思います」
ヤ 「お、俺だって信じてるよ! ……ん? でもよ、姉貴? 9じゃないってんなら、足らないって誰のことだよ? ここには姉弟全員が……」
カ 「『0』だ」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ 『……あ~……』
ラ 「兄さんなら、今回は不参加だ。伝言預かってるぜ? 父王がいたんじゃ寛げないだろうから、今日は姉弟だけで仲良くやりなさい――とよ」
ハ 「なんと。もったいない心遣いですな」
マ 「ハハ……というより、これは……」
ダ 「う、うむ。その……」
ヤ 「ひょっとして、ひょっとすると……」
カ 「逃げたな」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『…………』
カ 「おのれあの甲斐性なし。死んだあとまで責任放棄か」
ザ 「お、お姉ちゃん、お姉ちゃんっ。陛下には陛下のご都合というものもあるんだから……」
カ 「その都合とやらで、最後もあっさり刺されたわけか? あん?」
ハ 「そ、それは……」
カ 「こっちが身を盾にして敵の凶刃を阻止してる目の前で! 反撃ひとつせず! 逃げる素振りも見せず! 椅子から立ち上がろうともしないで、あっさりタマ取られやがったんだぞ、あのド阿呆は!」
ダ 「む、むう……」
ヤ 「いや、まあ、なんていうか」
マ 「アハハハハ……」
ナ 「そもそもセンスがない」
ラ 「……ま、ツメが甘いのは、いつもの兄さんらしいさ」
ザ 「とにかく落ち着いてよ、お姉ちゃん。もともと陛下は、組織の長という以前に、始祖なわけだしね。始祖には始祖なりの、複雑な事情がきっと――」
カ 「始祖? 始祖だとっ? 始祖なら何をしても許されると言うのかっ! 便利だな始祖! 最強だな始祖! なんでもありだな、えっ?」
ザ 「そ、そんなこと言われても……!?」
カ 「そういえば、誰かさんも始祖だったっけな! いまさら仲間意識か? シモジモには計り知れない連帯感かっ? ああっ!?」
ザ 「ち、違うよお姉ちゃん! そんなことひと言も!?」
ヤ 「……や、やべえよ兄貴。姉貴、いつになく荒れてるよ」
ナ 「ま、久しぶりだしな」
ラ 「おまけに、こないだのエイプリルフールだ」
マ 「ああ、『あれ』ね。ハハ……」
ヤ 「おいおい兄貴たちっ、じゃあ姉貴があんなに荒れてるのは、あいつらのイチャつきっぷりを見せられたからだっての? つーか、でも、あれってイチャついてることになるん――ブフッ!?」
マ 「どわあ! ヤ――じゃなくて7!」
ハ 「あ、姉上! いけませんっ。それ以上は! い、いかに不死身とはいえ、あまりに……!?」
カ 「……ふん」
(ドサリ)
ヤ 「……ぶくぶく……」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『…………』
カ 「とにかくだ!」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『は、はいっ』
カ 「先の戦の最大の戦犯は、問答無用であのうらなりである! 奴に少しでも根性があれば、我ら血族の再起は決して不可能ではなかったはずだ! 違うかっ? 異議のある者は目をつむって歯を食いしばり一歩前へ!」
ザ 「う、うらなりって……」
マ 「しかも粛清前提……」
ナ 「陛下の自業自得」
ラ 「ま、さすがに庇い立ては難しいかな。あの体たらくじゃ」
ダ 「……お前たち、少しは口を慎め」
ハ 「しかし、兄上も前には出ないのですね?」
ダ 「…………」
カ 「――異議はなし、か。ふん。よろしい。では、奴にはのちほど相応の報いをくれてやるとしよう」
ザ 「そ、相応って……」
カ 「フッ。心配するな。さすがに、闇の父に直接手出しするのは、お前たちも気が引けるだろうからな。責任を持って、私が、執行する」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『…………』
カ 「さて。そんなわけで最大の戦犯は確定したわけだが……他はどうだ? 何か『反省』する点があるかな?」
ザ 「全然ないよ、お姉ちゃん! むしろ僕ら、超頑張ったと思う!!」
マ 「あっ、同感! すごい同感!」
ダ 「うむ。確かに、結果的には敗北したわけだが――」
ハ 「少なくとも、私は悔いはありません。いや、むろん足りない部分は多々ありましたが、全力は尽くせたかと……」
ナ 「……やることはやった」
ラ 「不覚は取ったが、まああんなもんだろ」
カ 「ほう。なるほどな」
ヤ 「……お、俺だって……」
ザ 「あ、目が覚めた? 無理はするなよ?」
ヤ 「いや、言わせてくれっ。俺だって最後は華々しく散ったぜ! 過去エピソードまで書いてもらって……本望だ!」
カ 「ふむ。そういえば、そうだったな。おかげで9も助かったわけだし……」
マ 「あ、あれいいよね~。しんみり過去話に、泣ける散り際! 俺なんか、最期はすごくひっそり地味だったもん。こんなときまで裏方かよ~ってさ」
ハ 「その分、短編集できちんと過去エピソードを披露していたではないか」
マ 「そういう兄ちゃんは、短編集に出た上で、カッコイイ見せ場があったじゃない」
ダ 「コラコラ。お前たち、つまらんことで争うな。二人とも、貴重な戦力だった。二人が居なければ、あのような戦いを繰り広げることはできなかったはずだぞ。胸を張っていればいいんだ」
ナ 「……とはいえ、5~7がもう少しマシなら、ボクらの圧勝だった。実質的前衛戦力は、1~4だけだったからな」
ハ・マ・ヤ 『…………』
ラ 「ところで、そういう我らが長女殿はどうなんだ? 何か悔いでも残ってるのか?」
カ 「私? ……いや。根性無しのうらなりには言いたいこともあるが……そうだな。ケインの馬鹿に後れを取ったことも、二度目の決戦ではリベンジを果たしたワケだし……」
ザ 「んん? ていうかお姉ちゃん、ここに来るの早くない? 数日とはいえ、みんなより生き延びたんだから、まだ一周忌じゃ――」
カ 「細かいことを気にするな。始祖のくせに」
ザ 「……ハイ……」
マ 「そういえば兄ちゃんてば、俺の血統の始祖だったんだよなー。道理で俺だけ、雑に扱われると思った。……ま、まあまあ、とにかく、みんな全力を尽くして戦ったってことだよねっ? ぶっちゃけ、葛城ミミコがいなけりゃ勝ってたわけだしさ。紙一重! 紙一重の好勝負だったってことだよ!」
ヤ 「あ、そうそう! あれさえなけりゃ、俺たち無事脱出してたはずだもんな!」
ハ 「あのときは惜しゅうございました」
ダ 「フフ。まさか、人の子に勝敗を左右されようとはな」
ナ 「……もう一度ボク一人ででも、九龍化しに行くべきだった」
ザ 「そうだねえ。僕も彼女については、最後まで後手に回ってしまった感があるよ。……でも、こうなると逆に楽しみでもあるよね?」
カ 「ん? 何がだ?」
ザ 「ほら。例の、『第二の九龍王』計画――」
カ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ・ヤ 『あぁー』
カ 「あれか。確かに……」
ダ 「いや、どうだろうな?」
ナ 「アリだと思う」
ハ 「面白いとは思いますが……」
マ 「傑作だよね、あれ。実現しないかなあ」
ヤ 「9をあいつに任せるって? 俺はちょっと抵抗が……」
ラ 「だが、実現する可能性は、決して低くはないと思うぜ?」
カ 「ほう。その根拠は」
ラ 「人間社会が俺たちを受け入れられると思うか?」
カ・ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ 『むっ』
カ 「……微妙だな」
ダ 「……うむ。少なくとも現時点では、難しかろうな」
ナ 「絶対無理」
ハ 「私もそう思います」
マ 「厳しいよねー。長年の確執とか、利権とか絡みまくってるし」
ヤ 「ハッ。人間どもの器が、んなデケーわけねえよ」
ザ 「…………」
ヤ 「あれ? なんだよ。兄貴だけ黙り込んじゃって?」
ザ 「……いや、僕も基本的には実現は難しいと思うけど……」
ヤ 「けど?」
ザ 「……なにぶん、葛城ミミコのやることだから、ね」
ダ 「…………」
ナ 「…………」
ハ 「…………」
マ 「…………」
ヤ 「…………」
ラ 「…………」
カ 「……フッ。どうやら、死んでからも目が離せないようだな」
ダ 「結果がどうなろうと、俺は9が幸せをつかんでくれれば満足だ」
ナ 「ボクはどうせなら、『九龍女王』になった上で幸せになることを願う」
ハ 「9なら大丈夫です」
マ 「それって、どっちの意味で? まあ、俺も9がどんな決断を下しても、それを支持するよ」
ヤ 「お、俺だって……!」
ラ 「……ぶっちゃけ、兄さんより人望もありそうだしな。この『反省会』を見てると」
カ 「それは鉄板だな。……が、ミミコといえど、所詮は人。限られた時間を生きる者だ。答えが出るのは、そう遠い未来ではないさ。少なくとも、我々にとってはな」
ザ 「死んじゃってることだしねー」
ダ 「それを言っては見も蓋もないが」
ナ 「待つのは慣れてる」
ハ 「それに……楽しみです」
マ 「そうだねぇ。どんな未来が待っているのか……」
ヤ 「クッ……また一旗揚げるなら、俺も参加したかったぜー!」
ラ 「ま、先達は先達らしく、大人しく見守るとしよう」
カ 「……だな。では、今回の『反省会』はこれで解散とするか。みんな……」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『?』
カ 「楽しかった。またな」
ア 「ま、待ちなさい! まずは落ち着いてっ? 話せばわかる。話せばわかるから……!?」
ザ 「はいは~い」
ダ 「……そうか。作中では、ちょうどあの戦いから一年か……」
ナ 「…………」
ハ 「参上致しました」
マ 「へーい――ってなんか機嫌悪そうだね、お姉ちゃん」
ヤ 「投げやりな口調のワリに、目がぎらついてるぜ……」
ラ 「やれやれ。また、面倒なことを」
カ 「ええい、何をごちゃごちゃ言っている! いいか。まずは点呼を取る。番号――1!」
ザ 「2!」
ダ 「3だ」
ナ 「4」
ハ 「5です」
マ 「ろっく~」
ヤ 「な、7だぜ!」
ラ 「8」
カ 「…………」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『…………』
カ 「……一人足りんな」
ザ 「ちょっ!? お、お姉ちゃん! 何言ってんの!?」
ヤ 「そうだよ、そりゃないぜ、姉貴!? なんのために俺たち、必死になって……!」
(ガッ)(ゴッ)
ザ・ヤ 『……っツう~……』
カ 「阿呆。足りんのは、9じゃない。当たり前だろ。あいつが、いまここに居てたまるか」
ザ 「で、ですよね?」
マ 「ちなみに、我らが希望の星ナンバー9は、現在無事地下に潜伏してるみたいだよ」
ダ 「うむ。厳しい道のりだとは思うが……彼女の上に、希望の光があらんことを」
ナ 「9なら大丈夫だ」
ハ 「はい。私もそう思います」
ヤ 「お、俺だって信じてるよ! ……ん? でもよ、姉貴? 9じゃないってんなら、足らないって誰のことだよ? ここには姉弟全員が……」
カ 「『0』だ」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ 『……あ~……』
ラ 「兄さんなら、今回は不参加だ。伝言預かってるぜ? 父王がいたんじゃ寛げないだろうから、今日は姉弟だけで仲良くやりなさい――とよ」
ハ 「なんと。もったいない心遣いですな」
マ 「ハハ……というより、これは……」
ダ 「う、うむ。その……」
ヤ 「ひょっとして、ひょっとすると……」
カ 「逃げたな」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『…………』
カ 「おのれあの甲斐性なし。死んだあとまで責任放棄か」
ザ 「お、お姉ちゃん、お姉ちゃんっ。陛下には陛下のご都合というものもあるんだから……」
カ 「その都合とやらで、最後もあっさり刺されたわけか? あん?」
ハ 「そ、それは……」
カ 「こっちが身を盾にして敵の凶刃を阻止してる目の前で! 反撃ひとつせず! 逃げる素振りも見せず! 椅子から立ち上がろうともしないで、あっさりタマ取られやがったんだぞ、あのド阿呆は!」
ダ 「む、むう……」
ヤ 「いや、まあ、なんていうか」
マ 「アハハハハ……」
ナ 「そもそもセンスがない」
ラ 「……ま、ツメが甘いのは、いつもの兄さんらしいさ」
ザ 「とにかく落ち着いてよ、お姉ちゃん。もともと陛下は、組織の長という以前に、始祖なわけだしね。始祖には始祖なりの、複雑な事情がきっと――」
カ 「始祖? 始祖だとっ? 始祖なら何をしても許されると言うのかっ! 便利だな始祖! 最強だな始祖! なんでもありだな、えっ?」
ザ 「そ、そんなこと言われても……!?」
カ 「そういえば、誰かさんも始祖だったっけな! いまさら仲間意識か? シモジモには計り知れない連帯感かっ? ああっ!?」
ザ 「ち、違うよお姉ちゃん! そんなことひと言も!?」
ヤ 「……や、やべえよ兄貴。姉貴、いつになく荒れてるよ」
ナ 「ま、久しぶりだしな」
ラ 「おまけに、こないだのエイプリルフールだ」
マ 「ああ、『あれ』ね。ハハ……」
ヤ 「おいおい兄貴たちっ、じゃあ姉貴があんなに荒れてるのは、あいつらのイチャつきっぷりを見せられたからだっての? つーか、でも、あれってイチャついてることになるん――ブフッ!?」
マ 「どわあ! ヤ――じゃなくて7!」
ハ 「あ、姉上! いけませんっ。それ以上は! い、いかに不死身とはいえ、あまりに……!?」
カ 「……ふん」
(ドサリ)
ヤ 「……ぶくぶく……」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『…………』
カ 「とにかくだ!」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『は、はいっ』
カ 「先の戦の最大の戦犯は、問答無用であのうらなりである! 奴に少しでも根性があれば、我ら血族の再起は決して不可能ではなかったはずだ! 違うかっ? 異議のある者は目をつむって歯を食いしばり一歩前へ!」
ザ 「う、うらなりって……」
マ 「しかも粛清前提……」
ナ 「陛下の自業自得」
ラ 「ま、さすがに庇い立ては難しいかな。あの体たらくじゃ」
ダ 「……お前たち、少しは口を慎め」
ハ 「しかし、兄上も前には出ないのですね?」
ダ 「…………」
カ 「――異議はなし、か。ふん。よろしい。では、奴にはのちほど相応の報いをくれてやるとしよう」
ザ 「そ、相応って……」
カ 「フッ。心配するな。さすがに、闇の父に直接手出しするのは、お前たちも気が引けるだろうからな。責任を持って、私が、執行する」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ 『…………』
カ 「さて。そんなわけで最大の戦犯は確定したわけだが……他はどうだ? 何か『反省』する点があるかな?」
ザ 「全然ないよ、お姉ちゃん! むしろ僕ら、超頑張ったと思う!!」
マ 「あっ、同感! すごい同感!」
ダ 「うむ。確かに、結果的には敗北したわけだが――」
ハ 「少なくとも、私は悔いはありません。いや、むろん足りない部分は多々ありましたが、全力は尽くせたかと……」
ナ 「……やることはやった」
ラ 「不覚は取ったが、まああんなもんだろ」
カ 「ほう。なるほどな」
ヤ 「……お、俺だって……」
ザ 「あ、目が覚めた? 無理はするなよ?」
ヤ 「いや、言わせてくれっ。俺だって最後は華々しく散ったぜ! 過去エピソードまで書いてもらって……本望だ!」
カ 「ふむ。そういえば、そうだったな。おかげで9も助かったわけだし……」
マ 「あ、あれいいよね~。しんみり過去話に、泣ける散り際! 俺なんか、最期はすごくひっそり地味だったもん。こんなときまで裏方かよ~ってさ」
ハ 「その分、短編集できちんと過去エピソードを披露していたではないか」
マ 「そういう兄ちゃんは、短編集に出た上で、カッコイイ見せ場があったじゃない」
ダ 「コラコラ。お前たち、つまらんことで争うな。二人とも、貴重な戦力だった。二人が居なければ、あのような戦いを繰り広げることはできなかったはずだぞ。胸を張っていればいいんだ」
ナ 「……とはいえ、5~7がもう少しマシなら、ボクらの圧勝だった。実質的前衛戦力は、1~4だけだったからな」
ハ・マ・ヤ 『…………』
ラ 「ところで、そういう我らが長女殿はどうなんだ? 何か悔いでも残ってるのか?」
カ 「私? ……いや。根性無しのうらなりには言いたいこともあるが……そうだな。ケインの馬鹿に後れを取ったことも、二度目の決戦ではリベンジを果たしたワケだし……」
ザ 「んん? ていうかお姉ちゃん、ここに来るの早くない? 数日とはいえ、みんなより生き延びたんだから、まだ一周忌じゃ――」
カ 「細かいことを気にするな。始祖のくせに」
ザ 「……ハイ……」
マ 「そういえば兄ちゃんてば、俺の血統の始祖だったんだよなー。道理で俺だけ、雑に扱われると思った。……ま、まあまあ、とにかく、みんな全力を尽くして戦ったってことだよねっ? ぶっちゃけ、葛城ミミコがいなけりゃ勝ってたわけだしさ。紙一重! 紙一重の好勝負だったってことだよ!」
ヤ 「あ、そうそう! あれさえなけりゃ、俺たち無事脱出してたはずだもんな!」
ハ 「あのときは惜しゅうございました」
ダ 「フフ。まさか、人の子に勝敗を左右されようとはな」
ナ 「……もう一度ボク一人ででも、九龍化しに行くべきだった」
ザ 「そうだねえ。僕も彼女については、最後まで後手に回ってしまった感があるよ。……でも、こうなると逆に楽しみでもあるよね?」
カ 「ん? 何がだ?」
ザ 「ほら。例の、『第二の九龍王』計画――」
カ・ダ・ナ・ハ・マ・ラ・ヤ 『あぁー』
カ 「あれか。確かに……」
ダ 「いや、どうだろうな?」
ナ 「アリだと思う」
ハ 「面白いとは思いますが……」
マ 「傑作だよね、あれ。実現しないかなあ」
ヤ 「9をあいつに任せるって? 俺はちょっと抵抗が……」
ラ 「だが、実現する可能性は、決して低くはないと思うぜ?」
カ 「ほう。その根拠は」
ラ 「人間社会が俺たちを受け入れられると思うか?」
カ・ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ 『むっ』
カ 「……微妙だな」
ダ 「……うむ。少なくとも現時点では、難しかろうな」
ナ 「絶対無理」
ハ 「私もそう思います」
マ 「厳しいよねー。長年の確執とか、利権とか絡みまくってるし」
ヤ 「ハッ。人間どもの器が、んなデケーわけねえよ」
ザ 「…………」
ヤ 「あれ? なんだよ。兄貴だけ黙り込んじゃって?」
ザ 「……いや、僕も基本的には実現は難しいと思うけど……」
ヤ 「けど?」
ザ 「……なにぶん、葛城ミミコのやることだから、ね」
ダ 「…………」
ナ 「…………」
ハ 「…………」
マ 「…………」
ヤ 「…………」
ラ 「…………」
カ 「……フッ。どうやら、死んでからも目が離せないようだな」
ダ 「結果がどうなろうと、俺は9が幸せをつかんでくれれば満足だ」
ナ 「ボクはどうせなら、『九龍女王』になった上で幸せになることを願う」
ハ 「9なら大丈夫です」
マ 「それって、どっちの意味で? まあ、俺も9がどんな決断を下しても、それを支持するよ」
ヤ 「お、俺だって……!」
ラ 「……ぶっちゃけ、兄さんより人望もありそうだしな。この『反省会』を見てると」
カ 「それは鉄板だな。……が、ミミコといえど、所詮は人。限られた時間を生きる者だ。答えが出るのは、そう遠い未来ではないさ。少なくとも、我々にとってはな」
ザ 「死んじゃってることだしねー」
ダ 「それを言っては見も蓋もないが」
ナ 「待つのは慣れてる」
ハ 「それに……楽しみです」
マ 「そうだねぇ。どんな未来が待っているのか……」
ヤ 「クッ……また一旗揚げるなら、俺も参加したかったぜー!」
ラ 「ま、先達は先達らしく、大人しく見守るとしよう」
カ 「……だな。では、今回の『反省会』はこれで解散とするか。みんな……」
ザ・ダ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ 『?』
カ 「楽しかった。またな」
ア 「ま、待ちなさい! まずは落ち着いてっ? 話せばわかる。話せばわかるから……!?」